” Tom ka goong(ต้มข่ากุ้ง) “って何?
日本で最も有名なタイ料理といえばトムヤムクンですよね。辛味と酸味が特徴的な海老のスープです。タイ語では”トム=煮る”、”ヤム=混ぜる”、”クン=海老”を意味します。
さて、今回紹介するのは、トムヤムクンと同じく海老を使ったスープ”トムカークン(Tom ka goong)”です。こちらもタイの伝統的かつ一般的なスープの一つです。

ちなみに、タイでは料理名の最後にメインとなる食材の名前が添えられます。上記二つの場合は、どちらも”クン(海老)”ですね。なので、それぞれ”海老のトムヤムソープ”、”海老のトムカースープ”といった意味合いになります。
では、”トムカースープ”ってなに?という話になります。
“トム”、”クン”の意味するところは上記の通りですが、”カー”というのは、タイ生姜”ガランガル”の事を意味します。ちなみに生姜は生姜でも日本の生姜とは、香りも味もまったく違うタイ特有の食材のひとつです。正直代用品にもならないくらい異なります。
“トムカークン”とは、海老をこの”ガランガル”とともにココナッツミルクで煮たスープのことです。特徴としては、ココナッツミルクのまろやかな甘みが挙げられます。
ちなみに、タイで”鶏肉”を表す言葉は”ガイ”なので、海老の代わりに鶏肉を使った場合”トムカーガイ”と呼ばれる料理になり、こちらは日本でもそれなりに知られているらしいですね。
“トムカークン”と”トムヤムクン”。どっちがどっち??
“トムカークン”の特徴としてココナッツミルクを挙げたわけですが…。実を言うと、トムヤムクンにもココナッツミルクを入れる場合があるんですよ。
と言うか、そもそもこの”カー(ガランガル)”という食材も、”トムカークン”に固有の食材ではなく、”トムヤムクン”にも必ず入れる食材なのです。
では、この二つの料理は何が違うのか。どちらも”トムカークン”でも”トムヤムクン”でも成立してしまうではないか。料理名にしても、かたや”カー”と食材名を、かたや”ヤム(混ぜる)”と調理法を名前に冠しており、命名法もバラバラではないか。
…と。でも実は、一応何点か”明確な違い”はあります。
あ、もちろん、そもそも味は似ても似つかないものですよ。その味の違いは、”明確な違い”が元となるわけです…。
“トムカークン”と”トムヤムクン”との違い
さて、これまで書いてきたように、”トムカークン”と”トムヤムクン”とは、その材料においてほとんど差異はありません。
両者の最大の違いはスープ(出汁)にあります。
“トムカークン”は出汁を用いず、直接具材をココナッツミルクで煮込むスープであるのに対し、”トムヤムクン”はチキンなどのスープストックと海老の殻から出汁をとってスープを作ります。この出汁の違いが両者を全く異なる味わいにします。
加えて、トムヤムクンにはナム・プリック(チリ・イン・オイル)と呼ばれるホットソースを調味料として用いる点も異なります。
ともかく、”トムカークン”はココナッツミルクたっぷりのとてもマイルドなスープです。辛いものが苦手で、タイ料理になかなか手を出しづらいと思っている方も、タイ料理入門の第一歩にいかがでしょう。
それではトムカークンの本格レシピをご紹介します。
“Tom ka goong”の本格レシピ!!
今回使ったタイ食材について
今回使ったタイ特有の食材はレモングラス、ガランガル、ホムデン、プリッキーヌ、コブミカンの葉、パクチーでした。
パクチーやレモングラスは最近はスーパーやデパ地下などでも取り扱われており比較的容易に手に入るようになっています。
ホムデンはまだやや手に入りにくいですね。そもそもホムデンがなんなのかと言われると難しいのですが、日本語では”赤わけぎ”ですが、英語では”shallot”、つまりエシャロットを指します。”onion”ではありません。ただ味はエシャロットよりむしろベルギーエシャロットに近いので、代用するならベルギーエシャロットがオススメです。プリッキーヌは普通に唐辛子で代用可能です。
しかし、問題はガランガルとコブミカンの葉です。この2つだけは代用は厳しいです。もちろん、それぞれ生姜やハーブなどを使えばトムカークン”もどき”を作ることができないわけではありませんが、ガランガルの香りは日本の生姜とは全くの別物です。
とはいえ、最近では日本にもタイ食材を取り扱っているネットショップなど増えていまして、意外とお手軽に食材の購入ができるのでオススメです。