“牡蠣の辛煮”
火を通すと縮んでしまう…これは牡蠣を調理する上で誰もが直面することだろう。しかし、みずみずしくぷっくりとした食感が牡蠣の魅力の一つでもあるのだ。
というわけで、今回紹介するのは牡蠣のみずみずしさはそのままに味付けもしっかりとつけた一品。これが日本酒のあてにも最高なのである。
何十年も前に出版された辻嘉一氏の料理本で母が学んだという一品だそうで、我が家では牡蠣の旬には必ず作る定番となっている料理。
ゆがく時間は最低限に、冷ました後に煮汁と合わせることで味を浸まし、牡蠣を縮ませずに調理する。これが本当に美味いのだ。
では、実際に作りかたを紹介しましょう。
“牡蠣の辛煮”の作り方
牡蠣を生姜を効かせた醤油風味に炊いた一品。佃煮とは異なり、十分に水気を残してふっくら、プリプリに仕上げる。
作り方
下準備
牡蠣は調理する前に必ずきちんと処理をして汚れを落とす。牡蠣はひだの下に見た目以上に汚れが溜まっているので下処理はしっかりと行う。(下処理の方法は記事下のリンクから)
生姜は薄切りにする。生姜は皮付近が最も香りが強いので、皮は剥かずに使う方が良い。
本調理
小鍋に、酒、醤油、みりんを5:2:2(目安)で注ぎ、さらに薄切りにした生姜を数枚加えて煮立たせる。アルコールが飛んで生姜の香りが移れば良いので、この段階では煮詰める必要はない。むしろ牡蠣が浸るくらいの水位の煮汁を確保しておく。
水を入れた鍋を火にかけ、沸騰したら下処理した牡蠣を入れ、身がキュッとしまったら即座に取り出す(この間は目を離さず牡蠣の変化をよくみておく)。一度に大量に牡蠣を入れてしまうと水温が下がってまうので注意。
先ほどの煮汁を煮立たせておき、そこに取り上げた牡蠣をすぐに移し、1~2分ほど軽く煮る。煮る時間が長すぎると牡蠣は縮んで固くなってしまうので気をつける。
牡蠣を煮汁ごとざるなどにあけて牡蠣と煮汁を分ける。牡蠣はそのまま冷まして粗熱をとる。後ほど両者を再び合わせて味をしますので煮汁も捨てないように。
煮汁は味付けに使うので、再び鍋に入れて半量ほどになるまで煮込む。その後、煮汁は鍋のまま置いておき粗熱をとる。
牡蠣の身を小さな器に入れ、粗熱をとった煮汁を注ぐ。そのまま食べるまで置いておき、味を染ませる。当然、置いておく時間が長いほど味は沁みていくので、好みに合わせて適当な時間で取り出して食卓に並べると良い。
レシピのメモ
貝類は煮込みすぎると縮んで硬くなるので、牡蠣を煮る時間は最低限に、漬けおいて味をしますことで牡蠣のみずみずしさを保つ。